【マイセンのあいうえお】肥料

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肥料

お米をつくるうえで、稲の成長を助けるために使われる肥料には、2種類あります。
1つは、有機物から作られる有機質肥料。
もう1つは、化学的につくられた化学肥料です。
どちらも同じく肥料と呼ばれますが、それぞれが稲に与える影響は全く異なります。

例えば、稲穂の出し方に、それが表れます。通常、稲はバラバラに穂を出します。もし一斉に出して、その時が低温であったり、強風や大雨に見舞われたり、病原菌がまん延していたりすれば、全ての穂が被害を受けることになり、最悪の場合、全滅してしまう可能性があるからです。こうした被害を最小限におさえるために、稲はバラバラに穂を出すのだと考えられます。

ただ、これは有機質肥料で育った稲に限ることです。化学肥料で育った稲は、生きものとしての本能を失い、一斉に穂を出すようになります。

人間が化学肥料を使うようになった理由の一つは、食料を効率よく確保するためです。
効率を求めることで、人間は発展を遂げてきました。効率は、モノやサービスをより多く、より広く行き渡らせることを可能にし、安定した社会を生み出していきました。そして人間はその考えを農業にも持ち込み、化学肥料を作り上げたのです。

稲が求めない限り、栄養を与えることはない有機質肥料とは異なり、化学肥料は、より早く確実に、稲に栄養を与えられます。化学肥料をうまく使えば、簡単に多くのお米を得ることができるかもしれません。しかしそれは、一つの生きものから生存本能を取り上げ、子孫を効率よく産ませようとすることでもあります。

漫画家・手塚治虫氏の名作『ブラック・ジャック』には、次のようなセリフがあります。

「人間が生きものの生き死にを自由にしようなんて おこがましいとは思わんかね......」


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